WORKS

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京都水族館
店舗・商業施設
竣工年月
2012年1月
所在地
京都市下京区
用途
水族館
構造
RC造 地上3階
延床面積
10974.29m²
 京都駅近くの広大な梅小路公園の一画にある国内初の内陸型総合水族館です。『「地域活性化の核」となる賑わい・交流の場』、『多様な「いのちの輝き・つながり」を学ぶ都心のオアシス』となることを目指して設計いたしました。ソフト面、ハード面ともに従来までの水族館にはなかった多くの試みを採り入れることで、「環境モデル都市・京都」にふさわしい、環境に配慮した体験型水族館です。

 山紫水明の豊かな自然の中で文化を育んできた京都にふさわしい建物となるよう、「緑・水・光・風」をモチーフに設計・デザインを行い、特に梅小路公園の芝生広場との連続性を重視しています。
芝生広場のある施設南側に屋外展示スペースを多く設け、その展示スペースと公園との仕切りとなるファサードは、溝型の梨地ガラスを間隔を空けてレイアウトした「水」の膜を想起させるようなガラスウォールとしています。公園にいる人々と水族館内部の人々や生き物達が、お互いに見え隠れするような形となり、ガラスウォールから透過する「光」や、吹き抜ける「風」、そして反射する「緑」の存在をあらためて認識し、水族館と公園の自然を一体として感じられる設計といたしました。

 京都水族館は総合エデュテイメント(=エデュケーション<教育>+エンターテインメント<娯楽>)型施設を目指しました。動物と人との距離を縮め、生態を伝える事を主眼として持続性を考慮しつつ、可変性のある展示もできるよう、水槽の形状や来館者の動線についても工夫しています。さらに、効率良く利用していただくだけでなく、水族館の裏側を知ることが出来るバックヤードツアー等も実施できるよう、あらかじめ設計しています。他にも、子どもたちがワークショップを行う交流プラザや、棚田や用水路など日本の原風景を再現した京の里山ゾーンなど、水に棲む生き物達を楽しみながら学習・体感できる場を設けました。

 水族館ならではの環境への配慮として、天然海水と同様のものを作る人口海水システムを採用。これにより、海水運搬に伴うエネルギー消費とCO2の排出をカットしています。さらに、高性能節水型濾過システムを用いることで、一般的な水族館と比べて、1日の補給水量を10分の1以下に低減しています。イルカスタジアムの屋根に設置された太陽光発電は石油換算で年間1万5千リットル分の発電を行い、イルカプールを水蓄熱槽とした複合型熱源システムや、クールピットシステム及び自然換気システム等により、省エネルギー化を積極的に図っています。

 他にも、資源の地産地消とCO2の固定化を目指し、イルカスタジアムの軒裏全体に京都産の木材を使用するなど、京都ならではの施設ということを重視して設計を行いました。京都の方をはじめとして、一人でも多くの方々に家族との絆や自然環境などについて想いを巡らせていただける、そんな施設となることを願っています。